「マンションのリノベーション費用ってどれくらいかかるの?」と気になっていませんか。マンションリノベーションの費用相場は㎡単価15〜20万円が目安で、70㎡のフルリノベーションなら1,050万〜1,400万円が中心価格帯です。
ただし費用は広さ・築年数・設備グレード・間取り変更の有無で大きく変わります。マンション特有の管理規約による制約もあり、戸建てリノベーションとは注意すべきポイントが異なります。
この記事では、マンションリノベーションの費用を㎡単価・広さ別・箇所別にわかりやすく解説します。スケルトンリノベーションの費用目安、管理規約の注意点、中古マンション購入+リノベの資金計画、2026年に使える補助金・減税制度まで網羅しているので、ぜひ最後までご覧ください。
マンションリノベーション費用の相場一覧【㎡単価と総額目安】
マンションリノベーションの費用は、工事の範囲によって大きく変わります。まずは「部分リノベーション」「フルリノベーション」「スケルトンリノベーション」それぞれの相場を確認しましょう。
部分リノベ・フルリノベ・スケルトンリノベの違い
マンションのリノベーションは大きく3つのタイプに分かれます。キッチンや浴室など一部だけを改修する「部分リノベーション」、設備交換から内装・間取り変更まで行う「フルリノベーション」、そして室内を躯体(コンクリート)の状態まで解体して一から作り直す「スケルトンリノベーション」です。
部分リノベーションは数十万〜500万円程度で実施できます。フルリノベーションは500万〜1,500万円以上、スケルトンリノベーションは700万〜2,000万円以上が一般的です。予算と目的に応じて最適な工事範囲を選びましょう。
| 工事タイプ | ㎡単価の目安 | 70㎡の費用目安 | 主な工事内容 |
|---|---|---|---|
| 表層リフォーム(内装のみ) | 8〜12万円/㎡ | 560万〜840万円 | 壁紙・床の張り替え、建具交換 |
| 部分リノベーション | 10〜15万円/㎡ | 数十万〜500万円(部分的) | 水回り設備交換+一部内装 |
| フルリノベーション | 15〜20万円/㎡ | 1,050万〜1,400万円 | 設備交換+内装+間取り変更 |
| スケルトンリノベーション | 18〜25万円/㎡ | 1,260万〜1,750万円 | 躯体まで解体し配管も全面更新 |
上記はあくまで目安の金額です。設備のグレード、間取り変更の規模、築年数による配管の状態などによって費用は大きく上下します。
㎡単価の考え方と費用が変動する10のポイント
マンションリノベーションの㎡単価は15〜20万円/㎡が一般的な目安です。しかし実際の見積もりでは、以下の要因によって㎡単価が大きく変動します。費用を正確に把握するためには、自分のケースに当てはまる要因を確認しておくことが重要です。
- 設備のグレードが高い(ハイグレードキッチン・浴室乾燥機・タッチレス水栓など)
- 間取りを大幅に変更する(壁の撤去・新設、水回りの移動)
- 築年数が古く給排水管・ガス管・電気配線の全面交換が必要
- 断熱工事を行う(内窓設置・壁や天井への断熱材追加)
- 造作家具やオーダーメイドの建具を多用する
- 無垢材フローリングなど高級素材を使用する
- マンションの搬入経路が狭く搬出入に手間がかかる
- 管理規約で遮音等級の高い床材が指定されている
- アスベスト含有建材の除去が必要
- 資材価格や人件費の高騰(2024年以降の建築資材価格上昇の影響)
逆に、既存の間取りを活かして設備グレードを標準にすれば、㎡単価12〜15万円に抑えられるケースもあります。まずはリノベーション会社に現地調査を依頼し、物件の状態に合った見積もりを取りましょう。
広さ別で見るマンションリノベーション費用の目安
マンションの広さ別にフルリノベーション費用の目安をまとめました。自宅の広さに近い数字を参考にしてください。
50㎡〜100㎡の費用早見表
| 広さ | 間取り目安 | フルリノベーション費用 | スケルトンリノベーション費用 |
|---|---|---|---|
| 50㎡ | 1LDK〜2LDK | 750万〜1,000万円 | 900万〜1,250万円 |
| 60㎡ | 2LDK〜3LDK | 900万〜1,200万円 | 1,080万〜1,500万円 |
| 70㎡ | 3LDK | 1,050万〜1,400万円 | 1,260万〜1,750万円 |
| 80㎡ | 3LDK〜4LDK | 1,200万〜1,600万円 | 1,440万〜2,000万円 |
| 90㎡ | 4LDK | 1,350万〜1,800万円 | 1,620万〜2,250万円 |
| 100㎡ | 4LDK〜5LDK | 1,500万〜2,000万円 | 1,800万〜2,500万円 |
フルリノベーションは㎡単価15〜20万円、スケルトンリノベーションは㎡単価18〜25万円を想定した目安です。実際の費用は間取り変更の有無や設備グレードで大きく変わります。
広さ別の費用傾向と知っておくべきポイント
面積が広くなるほど総額は上がりますが、㎡単価はやや下がる傾向があります。これは水回り設備(キッチン・浴室・トイレ・洗面台)の費用が面積に関係なくほぼ一定だからです。
たとえば50㎡と80㎡では面積差は1.6倍ですが、キッチンや浴室の設備費用は同じです。80㎡の方が㎡あたりの設備費負担が薄まるため、結果として㎡単価は低くなります。
一方、100㎡を超える広さではフローリングや壁紙などの内装材の使用量が大幅に増えます。広い物件ほど内装材のグレード選びが総額に大きく影響するため、内装材の選定は慎重に行いましょう。無垢材フローリングを全面に使うか、リビングのみ無垢材にして居室は複合フローリングにするかで、数十万円の差が生まれます。
予算別にできるリノベーションの内容
予算ごとにどこまでのリノベーションができるか、70㎡のマンションを例に目安を紹介します。
| 予算帯 | できる工事の目安(70㎡) |
|---|---|
| 300万〜500万円 | 水回り設備の交換(キッチン・浴室・トイレ・洗面台)+部分的な内装 |
| 500万〜800万円 | 水回り全交換+全室の内装(壁紙・床材)張り替え |
| 800万〜1,200万円 | フルリノベーション(設備交換+内装+一部間取り変更) |
| 1,200万〜1,500万円 | スケルトンリノベーション(間取り変更+設備交換+配管更新) |
| 1,500万円以上 | ハイグレード仕様のスケルトンリノベ(断熱工事・造作家具含む) |
予算が限られている場合は「水回り設備の交換」を優先するのがおすすめです。キッチンや浴室が新しくなるだけで日常の快適さが大きく向上します。内装は後から部分的に張り替えることもできますが、設備交換は解体を伴うため後回しにするとコストが高くなりがちです。
箇所別に見るマンションリノベーション費用の内訳
マンションリノベーション費用の大部分を占めるのは水回りの設備です。箇所ごとの費用感を知っておくと、優先順位をつけやすくなります。
キッチンのリノベーション費用
キッチンのリノベーション費用は50万〜200万円が相場です。システムキッチンの本体価格がメーカーやグレードによって大きく異なるため、費用の幅が広くなっています。
| キッチンのグレード | 費用目安(工事費込み) | 主な仕様 |
|---|---|---|
| スタンダード | 50万〜80万円 | I型・人工大理石天板・標準水栓・2口コンロ |
| ミドル | 80万〜120万円 | L型やペニンシュラ・食洗機付き・3口コンロ |
| ハイグレード | 120万〜200万円以上 | アイランド型・タッチレス水栓・オール引き出し・食洗機深型 |
キッチンの位置を移動する場合は、給排水管の延長工事が追加で20万〜50万円かかります。マンションではパイプスペース(PS)の位置による制約があるため、移動距離に限界がある点にも注意が必要です。排水管の勾配を確保するために床を上げる工事が必要になるケースもあります。
キッチンリノベーションの詳細はキッチンリノベーション費用の完全ガイドで解説しています。

浴室のリノベーション費用
浴室のリノベーション費用は60万〜150万円が目安です。ユニットバスの交換が中心で、サイズアップや浴室乾燥機・ミストサウナなどのオプション追加で費用が変動します。
マンションの浴室はユニットバスが一般的です。在来工法の浴室からユニットバスへ変更する場合は解体費用も含めて80万〜150万円程度かかります。ユニットバスのサイズは1216・1317・1418・1620などがあり、マンションの構造や梁の位置によって設置可能なサイズが決まります。
浴室の位置変更は排水勾配の確保が必要なため、大幅な移動は難しいケースが多いです。移動する場合は床上げ工事の費用(10万〜30万円)も見込んでおきましょう。
トイレ・洗面台の費用
トイレの交換費用は15万〜50万円、洗面台の交換費用は10万〜40万円が相場です。タンクレストイレ、自動洗浄機能付き、幅広洗面台、三面鏡キャビネット付きなどを選ぶと費用が上がります。
水回り4点セット(キッチン・浴室・トイレ・洗面台)をまとめて交換すると、250万〜450万円が目安です。個別に発注するより、まとめて同じリノベーション会社に依頼した方が工事の段取りがよく、費用も抑えられます。水回りリフォーム全般の費用は水回りリフォームの費用相場もあわせてご覧ください。

リビング・居室・間取り変更の費用
フローリングの張り替えは㎡あたり0.8万〜1.5万円、壁紙(クロス)の張り替えは㎡あたり1,000〜2,000円が目安です。70㎡のマンションで全室の内装を張り替えると80万〜150万円程度かかります。
間取り変更を伴う場合は壁の撤去・新設費用が加算されます。壁1箇所の撤去で10万〜30万円、新設で8万〜20万円が目安です。ただしマンションの構造壁(躯体のコンクリート壁)は撤去できません。間仕切り壁のみが撤去可能です。
3LDKを2LDKの広いリビングに変更するような間取り変更は、壁の撤去に加えて電気工事(コンセント・スイッチの移設)や天井・床の補修も必要になります。間取り変更の総額は30万〜100万円を見込んでおきましょう。事前に構造図面を管理組合から取り寄せて、どの壁が撤去可能か確認することが大切です。

スケルトンリノベーションの費用と向いているケース
スケルトンリノベーションは室内を躯体(コンクリート)の状態まで解体し、間取り・設備・配管・内装のすべてを一から作り直す工事です。費用は高くなりますが、自由度の高い住まいづくりが可能になります。
スケルトンリノベーションの費用相場と工期
スケルトンリノベーションの㎡単価は18万〜25万円が相場です。70㎡の場合、1,260万〜1,750万円が目安になります。
フルリノベーションとの主な違いは解体範囲と配管の扱いです。スケルトンリノベーションでは壁・天井・床をすべて撤去し、給排水管・ガス管・電気配線を新設します。築30年以上のマンションでは設備の寿命をリセットできるメリットがあります。その分、解体費(20万〜40万円)と産廃処理費(10万〜30万円)、配管の全面更新費(50万〜100万円)が加わります。
| 広さ | スケルトンリノベ費用 | 工期の目安 |
|---|---|---|
| 50㎡ | 900万〜1,250万円 | 2.5〜3.5か月 |
| 60㎡ | 1,080万〜1,500万円 | 3〜4か月 |
| 70㎡ | 1,260万〜1,750万円 | 3〜4.5か月 |
| 80㎡ | 1,440万〜2,000万円 | 3.5〜5か月 |
| 100㎡ | 1,800万〜2,500万円 | 4〜6か月 |
工期中は仮住まいが必要です。仮住まいの家賃(月10万〜15万円 × 3〜5か月)と引越し費用(往復で15万〜30万円)もトータルコストに含めて計画しましょう。
スケルトンリノベーションが向いている人・向いていない人
- 築30年以上で配管の老朽化が進んでいるマンション
- 間取りを大幅に変えたい(3LDKを1LDKにするなど)
- 断熱性能を向上させて光熱費を下げたい
- 中古マンションを購入してゼロから理想の住まいを作りたい
- 長期間(20年以上)住む予定で、配管トラブルを予防したい
一方、築浅マンション(築15年以内)で配管状態が良好なら、スケルトンまで行う必要はないケースがほとんどです。不要な解体をしなければ、その分の費用を設備グレードのアップや断熱工事に回せます。物件の状態をプロに診断してもらい、本当にスケルトンが必要かどうかを判断しましょう。

中古マンション購入+リノベーションの総予算と資金計画
中古マンションを購入してリノベーションする場合、物件価格とリノベ費用を合わせた総予算の把握が欠かせません。資金計画の立て方とローンの選び方を解説します。
総予算のシミュレーション(エリア別)
中古マンション購入+リノベーションの総予算は「物件価格 + リノベ費用 + 諸費用」で計算します。諸費用は物件価格の6〜8%が目安で、仲介手数料・登記費用・不動産取得税・火災保険料などが含まれます。
| 項目 | 東京23区(70㎡の例) | 大阪市・名古屋市(70㎡の例) | 地方都市(70㎡の例) |
|---|---|---|---|
| 中古マンション価格 | 4,000万〜6,000万円 | 2,000万〜4,000万円 | 1,000万〜2,500万円 |
| フルリノベーション費用 | 1,050万〜1,400万円 | 1,050万〜1,400万円 | 1,000万〜1,300万円 |
| 諸費用(物件の6〜8%) | 240万〜480万円 | 120万〜320万円 | 60万〜200万円 |
| 総予算の目安 | 5,290万〜7,880万円 | 3,170万〜5,720万円 | 2,060万〜4,000万円 |
リノベーション費用はエリアによる差が比較的小さい一方、物件価格はエリアで大きく異なります。地方都市であれば、新築マンションの半額以下の総予算で理想の住まいを手に入れられるケースもあります。
中古マンションリノベーションの進め方や物件選びのコツは中古マンションリノベーション完全ガイドで詳しく解説しています。
リノベーション一体型ローンの仕組みとメリット
中古マンション購入とリノベーションの費用をまとめて借りられるのが「リノベーション一体型ローン(リフォーム一体型住宅ローン)」です。通常の住宅ローンとリフォームローンを別々に組むよりも、金利・返済期間・手続きの面で有利です。
| 比較項目 | 一体型ローン | 住宅ローン+リフォームローン(別々) |
|---|---|---|
| 金利 | 年0.3〜1.0%台(変動/固定) | 住宅:0.3〜1.0% / リフォーム:2〜5% |
| 返済期間 | 最長35年 | 住宅:35年 / リフォーム:10〜15年 |
| 住宅ローン控除 | リノベ費用分も控除対象 | リフォームローン分は対象外の場合あり |
| 手続き | 審査・契約が1本で完了 | 2本分の審査・契約が必要 |
| 月々の返済負担 | 低金利×長期返済で負担軽減 | リフォームローンの短期返済で月額が高い |
一体型ローンは金利が低く返済期間も長く設定できるため、月々の返済額を大幅に抑えられます。たとえばリノベ費用1,200万円を一体型ローン(金利0.5%・35年)で借りた場合の月々の返済は約3.1万円ですが、リフォームローン(金利3.5%・15年)で借りると月々約8.6万円になります。
ただし一体型ローンを利用するには、物件の売買契約前にリノベーションのプランと概算見積もりが必要です。物件探しとリノベーション会社選びを同時進行で進めることが重要です。「ワンストップリノベーション」を提供する会社なら、物件探しからリノベーションまで一括で対応してくれます。
住宅ローン控除の最新情報(2026年版)
2026年以降も住宅ローン控除は利用可能です。2026年度の税制改正で中古住宅の控除制度が拡充されました。
- 控除期間:省エネ基準を満たす中古住宅は最長13年に延長(従来は10年)
- 床面積要件:40㎡以上に緩和(従来50㎡以上)
- 借入限度額:省エネ性能の高い中古住宅は最大4,500万円
- 控除率:年末ローン残高の0.7%を所得税から控除
- 制度期限:2030年12月31日入居分まで延長済み
省エネ基準を満たすリノベーションを行うことで、控除期間が10年から13年に延長されます。たとえば借入残高3,000万円 × 控除率0.7% × 13年で、最大約273万円の税金が戻る計算です。リノベーション計画の際は省エネ基準への対応も検討しましょう。
※制度の詳細は年度ごとに変更される場合があります。最新情報は国税庁のウェブサイトまたは税理士にご確認ください。
マンションリノベーション特有の制約と注意点
マンションのリノベーションは戸建てと異なり、管理規約や建物構造による制約があります。「やりたかった工事ができなかった」と後悔しないために、事前に確認すべきポイントを押さえておきましょう。
専有部分と共用部分の区別【リノベできる範囲】
マンションは「専有部分」と「共用部分」に分かれており、リノベーションできるのは専有部分のみです。共用部分は個人の判断で変更できません。
| 区分 | 具体例 | リノベーション |
|---|---|---|
| 専有部分 | 室内の壁・床・天井(コンクリート躯体の内側)、内装、設備機器 | 可能 |
| 共用部分 | 玄関ドア(外側)、窓サッシ、バルコニー、構造壁、共用配管、外壁 | 不可 |
間違えやすいポイントを補足します。玄関ドアは外側が共用部分・内側が専有部分です。ドアの交換はできませんが、内側の塗装やシート貼りは可能な場合があります。窓サッシも共用部分のため交換できませんが、室内側に「内窓(インナーサッシ)」を追加設置することはほとんどのマンションで認められています。バルコニーは専用使用権があるものの共用部分です。ウッドデッキやタイルの設置は管理規約を確認しましょう。
管理規約で確認すべき5つのポイント
マンションの管理規約にはリノベーション工事に関するルールが定められています。以下の5項目は工事前に必ず確認しましょう。確認不足で着工後にやり直しになると、余計な費用がかかります。
- 床材の遮音等級(LL-45以上を求めるマンションが多い)
- 工事の届出・承認手続き(管理組合の理事会への事前申請が必要)
- 工事可能な時間帯と曜日(平日9時〜17時のみなど)
- 水回りの移動制限(排水管ルートの制約・床上げの可否)
- 電気容量の上限(IHクッキングヒーターへの変更可否に影響)
2026年4月の区分所有法改正に伴い、リノベーション工事に関する規約が見直されているマンションも増えています。古い管理規約しかないマンションでは、最新の細則を管理組合に確認しておくと安心です。
床材の遮音等級(LL値)と追加費用
多くのマンションでは、フローリングに変更する際にLL-45以下(数値が小さいほど遮音性が高い)の遮音等級を求めています。特にカーペット敷きからフローリングに変更する場合は厳しくチェックされることが多いです。
遮音等級を満たさないフローリングを使用すると、管理組合から是正を求められたり、階下の住戸と騒音トラブルに発展したりする恐れがあります。遮音フローリングは通常のフローリングより材料費が1.5〜2倍かかるため、予算に織り込んでおきましょう。遮音マットを敷く方法もあり、その場合は㎡あたり3,000〜5,000円の追加コストが目安です。
水回り移動の制約と対処法
マンションでは水回りの移動に構造的な制限があります。排水管は重力で水を流す仕組みのため、パイプスペース(PS)から離れるほど床を上げて排水勾配をつける必要があるからです。
床の上げ幅には限界があるため、キッチンや浴室を大きく移動できないケースが多いです。特に「直床(じかゆか)」構造のマンションでは、コンクリートスラブの上に直接フローリングが貼られているため、配管スペースがほとんどなく移動が難しくなります。一方「二重床」構造であれば、床下に空間があるため比較的移動の自由度が高いです。
水回りの移動を検討している場合は、早い段階でリノベーション会社に現地調査を依頼しましょう。図面だけではわからない配管の状況を確認してもらえます。リフォームとリノベーションの違いについてはリフォームとリノベーションの違いを徹底解説をご覧ください。

築年数別のマンションリノベーション費用と注意点
築年数によって必要な工事の範囲が変わり、リノベーション費用にも大きく影響します。自分のマンションの築年数に合わせた注意点を確認しましょう。
築20年以内:設備更新中心でコスパが良い
築20年以内のマンションは配管や電気配線の状態が比較的良好です。全面交換は不要なケースがほとんどで、設備交換+内装のフルリノベーションで十分対応できます。
費用目安は㎡単価12〜18万円で、70㎡なら840万〜1,260万円程度です。スケルトンまで解体する必要がないため、コストパフォーマンスの良い築年数帯といえます。設備のグレードアップや間取りの微調整に予算を集中できるのがメリットです。
築20〜35年:配管更新の判断がポイント
築20〜35年のマンションは、給排水管の劣化が進んでいる可能性があります。特に築25年を超えると配管の寿命が近づいており、リノベーション時に配管の更新を検討すべきタイミングです。
配管の種類によって寿命が異なります。鉄管(SGPW)は20〜30年、塩ビライニング鋼管は25〜35年、架橋ポリエチレン管やポリブテン管は40年以上です。築年数だけでなく、使われている配管の種類を確認することが重要です。
配管の全面交換を含めると㎡単価16〜22万円が目安です。「今はまだ使えるから」と配管を残してリノベーションすると、数年後に漏水トラブルが起きて再度解体が必要になるリスクがあります。リノベーション時にまとめて交換する方が、長い目で見るとトータルコストを抑えられます。
築35年以上(旧耐震基準):スケルトンが推奨
1981年(昭和56年)6月1日以前に建築確認を受けたマンションは「旧耐震基準」で建てられています。建物全体の耐震補強は管理組合による大規模修繕の領域ですが、中古マンションを購入する場合は耐震診断の結果を必ず確認しましょう。
旧耐震マンションのリノベーションでは、以下の追加工事が発生する可能性が高いです。
- 給排水管の全面交換(鉄管からポリエチレン管へ):50万〜100万円
- 電気容量の増設工事(30Aから60Aへなど):10万〜30万円
- 断熱材の追加(壁・天井への吹付け断熱):30万〜80万円
- 内窓の設置(二重窓化):1箇所あたり5万〜15万円
- アスベスト含有建材の除去:20万〜50万円
築35年以上のマンションはスケルトンリノベーションが推奨されるケースが多いです。㎡単価は20〜25万円を見込んでおくと安心です。ただし物件価格が安いため、購入費+リノベ費のトータルで見ると新築より大幅に安くなることが多いのも事実です。
マンションリノベーションで使える補助金・減税制度【2026年版】
マンションのリノベーションでも国や自治体の補助金・減税制度を活用できます。うまく活用すれば100万円以上の費用負担を軽減できるため、対象工事がないか必ず確認しましょう。
2026年に利用可能な主な補助金制度
| 制度名 | 補助上限額 | 主な対象工事 | マンションでの活用ポイント |
|---|---|---|---|
| 先進的窓リノベ2026事業 | 最大100万円/戸 | 高断熱窓への改修(内窓設置など) | 窓サッシを替えられないマンションでも内窓設置で利用可 |
| みらいエコ住宅2026事業 | 最大100万円/戸 | 省エネ改修全般(断熱・設備交換) | 給湯器交換や断熱材追加など幅広い工事が対象 |
| 給湯省エネ2026事業 | 設備により異なる | 高効率給湯器(エコジョーズ等)の導入 | ガス給湯器からの交換で補助金対象に |
これらの補助金は異なる工事であれば併用可能です。たとえば「先進的窓リノベ」で内窓設置に補助金を受け、「みらいエコ住宅」で断熱材工事に補助金を受けるといった組み合わせができます。ただし同一工事への重複申請はできません。
マンションで特に活用しやすいのは「先進的窓リノベ2026事業」です。共用部分の窓サッシを交換できないマンションでも、室内側に内窓(インナーサッシ)を設置する工事が補助対象になります。断熱性能が大幅に向上し、冷暖房の光熱費削減にもつながる一石二鳥の工事です。
リフォーム減税制度の活用方法
補助金に加えて、リノベーション工事に対する減税制度も活用できます。住宅ローンを組む場合と組まない場合で利用できる制度が異なります。
- 住宅ローン控除:年末残高の0.7%を最長13年間所得税から控除(ローン利用時)
- リフォーム促進税制(投資型減税):ローン不要、対象工事費の10%を所得税から控除(上限あり)
- 固定資産税の減額:省エネ・バリアフリー・耐震改修で翌年度の固定資産税が1/3〜1/2に減額
リフォーム促進税制はローンを組まずに自己資金でリノベーションする場合にも使えるのがポイントです。省エネ改修(断熱工事・高効率設備設置)やバリアフリー改修(手すり設置・段差解消)が対象で、工事費の10%(上限あり)が所得税から控除されます。
※補助金・減税制度は申請期限や予算上限があり、年度途中で受付終了となる場合があります。最新の情報は各制度の公式サイトでご確認ください。

マンションリノベーション費用を抑える7つのコツ
リノベーション費用は工夫次第で数十万〜数百万円の差が生まれます。品質を落とさずに費用を抑えるための7つのコツを紹介します。
コツ1:既存の間取りをできるだけ活かす
間取り変更を最小限にすることが最も効果的なコスト削減策です。壁の撤去・新設は1箇所あたり10万〜30万円、水回りの移動は20万〜50万円以上かかります。間取りは変えずに内装と設備だけ刷新するだけでも、生活空間の印象は大きく変わります。
コツ2:設備グレードにメリハリをつける
キッチン・浴室・トイレなどの設備はグレードによって費用が2倍以上変わります。すべてをハイグレードにするのではなく、毎日長時間使う場所にだけ予算を集中させましょう。たとえばキッチンにこだわりたい場合、トイレはスタンダードグレードで十分です。使用頻度や家族の優先順位で判断することが大切です。
コツ3:複数のリノベーション会社から相見積もりを取る
リノベーション会社によって見積もり金額には大きな差があります。同じ工事内容でも100万〜300万円の差が出ることは珍しくありません。最低3社、できれば5社から見積もりを取り比較しましょう。相見積もりを取ることで適正価格が見え、各社の提案力や対応力も比較できます。
コツ4〜7:その他のコスト削減テクニック
- コツ4:水回り工事はまとめて発注する(個別発注より工事費が安くなり、工期も短縮)
- コツ5:補助金・減税制度を最大限活用する(合計で100万円以上の節約が可能)
- コツ6:施主支給を検討する(照明器具・タオルバー・カーテンレールなどの小物類)
- コツ7:設計と施工を一括で依頼する(ワンストップリノベ会社なら中間マージンが不要)
費用を抑えることは大切ですが、安さだけで業者を選ぶのはリスクがあります。施工品質やアフターサポート、過去の施工実績も含めて総合的に判断しましょう。極端に安い見積もりを出す業者は手抜き工事や追加請求のリスクがあるため注意が必要です。
マンションリノベーションの費用で失敗しないための注意点
リノベーション費用に関して「こんなはずじゃなかった」と後悔する声は少なくありません。よくある失敗パターンと対策を知っておきましょう。
追加費用が発生するパターンと予防策
リノベーション工事では、解体してみて初めてわかる問題が見つかり、追加費用が発生することがあります。特にマンションでは以下のケースが頻出します。
- 解体後に配管の腐食が見つかった(交換費用:30万〜80万円)
- 壁の中にアスベスト含有建材があった(除去費用:20万〜50万円)
- 床下のコンクリートスラブに不陸(凹凸)があり下地調整が必要になった
- 想定していた位置に構造壁があり、間取りプランの変更を余儀なくされた
- 管理規約の遮音等級を満たすために床材のグレードアップが必要になった
追加費用に備えて、見積もり総額の10〜15%を予備費として確保しておくことを強くおすすめします。1,000万円のリノベーションなら100万〜150万円の予備費が目安です。予備費を使わずに済めばそれに越したことはなく、余った分は設備のグレードアップや家具購入に充てられます。
見積もり比較で必ず確認すべきこと
見積もりを比較する際は、金額だけでなく「何が含まれているか(含まれていないか)」を必ず確認しましょう。安い見積もりでも、解体費・産業廃棄物処理費・養生費・搬出入費・管理費などが別途請求になっているケースがあります。
「一式○○万円」という見積もりは内訳が不透明なため要注意です。項目ごとに数量・単価・金額が明記された詳細見積書を出してくれる会社を選びましょう。また、追加費用が発生する可能性がある箇所について事前に説明してくれる会社は信頼性が高いです。
契約前に確認すべき3つの書類
リノベーション会社と契約する前に、以下の3つの書類を必ず受け取り内容を確認しましょう。
- 詳細見積書(項目別の数量・単価・金額が明記されたもの)
- 工事仕様書(使用する設備のメーカー・品番・グレードが明記されたもの)
- 工程表(着工日・完工予定日・各工程の期間が明記されたもの)
これらの書類が揃っていない状態で契約すると、工事内容や費用をめぐるトラブルの原因になります。少しでも不明点があれば、契約前に質問して書面で回答をもらいましょう。
マンションリノベーション費用についてよくある質問
まとめ:マンションリノベーション費用は㎡単価と工事範囲で決まる
マンションリノベーションの費用相場は㎡単価15〜20万円が目安で、70㎡のフルリノベーションなら1,050万〜1,400万円が中心価格帯です。スケルトンリノベーションの場合は㎡単価18〜25万円で、1,260万〜1,750万円が目安になります。
費用を左右する主なポイントは以下の5つです。
- 工事の範囲(表層リフォーム/フルリノベ/スケルトンリノベ)
- 設備のグレード(スタンダード/ミドル/ハイグレード)
- 間取り変更の有無と規模
- 築年数と配管更新の要否
- 管理規約による制約(遮音等級・工事制限)
リノベーション費用を適正価格に抑えるためには、複数のリノベーション会社から見積もりを取って比較することが最も重要です。1社だけで決めてしまうと相場感がつかめず、割高な契約をしてしまうリスクがあります。無料の一括見積もりサービスを活用して、効率的に比較検討を進めましょう。
リノベーション費用の総合的な解説はリノベーション費用の相場を徹底解説もあわせてご覧ください。



