「ハウスメーカーの保証っていらないのでは?」と感じていませんか。結論から言うと、いらないかどうかを判断できるのは有償の延長保証だけです。引き渡しから10年間の保証は法律で確保されており、施主が要否を選べるものではありません。
筆者は2025年5月に注文住宅を建て、その前に4社のハウスメーカーへ足を運びました。外構工事では専門業者とのトラブルも経験し、「安いほうへ切り替える」判断の難しさを身をもって知りました。
この記事では、ハウスメーカー保証の種類と期間、いらないと言われる理由、逆に残しておくべきケース、30年間の費用比較、そして自分のケースで判断するためのチェックリストまで解説します。
ハウスメーカーの保証は本当にいらない?結論から解説
「保証はいらない」という意見は、保証をひとくくりにした議論から生まれがちです。まずは何が法律で決まっていて、何が任意なのかを分けて理解しましょう。
「いらない」の対象になるのは有償の延長保証
ハウスメーカーの保証は、性質の違う3つの層が重なってできています。このうち施主が「続けるかどうか」を選べるのは、10年目以降に案内される有償の延長保証だけです。
ネット上で「保証はいらない」と語られるとき、その多くはこの延長保証を指しています。法定の保証や引き渡し直後の初期保証まで不要という意味ではありません。
まずはこの区別をしないまま「保証は無駄」と結論づけると、本来受けられる無償補修を取りこぼすおそれがあります。
法律で確保されている10年保証は施主が手放せない
住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)では、新築住宅の「構造耐力上主要な部分」と「雨水の浸入を防止する部分」について、引き渡しから10年間の責任が事業者に義務付けられています。柱・梁・基礎と、屋根・外壁・開口部が対象です。
この10年は契約で短くすることができません。つまり「保証がいらないから外してもらって値引きしてほしい」という交渉自体が成り立たない領域です。
さらに住宅瑕疵担保履行法により、事業者は保険加入か供託が義務付けられています。万一その会社が倒産しても、保険加入物件なら補修費用を保険法人へ直接請求できる仕組みが用意されています。
| 区分 | 根拠 | 期間の目安 | 施主が選べるか |
|---|---|---|---|
| 法定保証 | 品確法 | 10年 | 選べない |
| 初期保証 | 各社独自 | 10〜35年 | 会社選びで決まる |
| 延長保証 | 各社独自 | 最長60年前後 | 選べる |
初期保証は会社によって差が大きい部分です。大手では構造30年・防水30年を掲げるところが多い一方、法定と同じ10年からスタートする会社もあります。
ハウスメーカー保証の種類と期間を整理する
ひと口に保証といっても、対象部位ごとに期間も条件も別々です。契約前に見るべきポイントを種類別に整理します。

構造躯体と雨水浸入を防ぐ部分の保証
保証の中心になるのがこの2つです。柱・梁・基礎などの構造躯体と、屋根・外壁・サッシまわりからの雨漏りが対象になります。
法定の10年を超える部分は各社独自の上乗せです。20年目・30年目といった節目で所定の点検と有償メンテナンスを受けることが、延長の条件になっているケースが一般的です。
防蟻(シロアリ)保証
木造住宅では土台や床下の防蟻処理に保証が付きます。薬剤の効果が続く期間に合わせて、5年ごとの再施工を条件に保証が継続する形が多く見られます。
再施工の費用は施主負担です。1回あたり10万〜25万円程度が目安で、30年住むなら5回前後の実施が想定されます。
住宅設備の保証
キッチン・給湯器・トイレなどは設備メーカーの保証が基本で、期間は1〜2年が中心です。住宅会社が独自に5〜10年へ延長するプランを用意している場合もあります。
構造の長期保証と混同されやすいポイントです。60年保証をうたう会社でも、設備が60年守られるわけではありません。
地盤保証
地盤沈下によって建物が傾いた場合などに備える保証です。第三者の保証会社が引き受ける形が多く、期間は20〜35年程度が一般的とされています。
標準で付く会社とオプション扱いの会社があります。地盤改良の要否と合わせて、契約前に確認しておきたい項目です。
| 保証の種類 | 主な対象 | 期間の目安 | 延長の条件 |
|---|---|---|---|
| 構造躯体 | 柱・梁・基礎 | 10〜35年 | 点検と有償メンテナンス |
| 防水 | 屋根・外壁・開口部 | 10〜30年 | 外装の塗り替えなど |
| 防蟻 | 土台・床下 | 5〜10年 | 5年ごとの再施工 |
| 設備 | キッチン・給湯器など | 1〜2年(延長で5〜10年) | 有償の延長プラン加入 |
| 地盤 | 地盤沈下による傾き | 20〜35年 | 会社により異なる |
具体的な保証年数や延長条件は会社ごとに異なります。実際の1社の内容を知りたい方は、次の記事も参考にしてください。

ハウスメーカーの保証がいらないと言われる5つの理由
延長保証に否定的な意見には、それなりの根拠があります。感情論ではなく、仕組みとして説明できる理由を5つ挙げます。
延長条件が有償メンテナンス工事とセットになっている
最長60年といった長期保証は、無条件で続くものではありません。所定の時期に点検を受け、指摘された工事をそのメーカーで実施することが条件になっているのが一般的です。
外壁の再塗装、シーリングの打ち替え、防蟻処理などが代表例です。保証を維持するために、数十万円から百万円単位の工事を定期的に発注し続ける構図になります。
この点を「保証というより工事の予約」と受け取る人が、いらない派の中心です。
メーカー経由の工事費は専門業者より高くなりやすい
ハウスメーカーは自社で塗装工事を行わず、協力会社へ発注することがほとんどです。そのぶん管理費や中間マージンが上乗せされ、専門業者へ直接頼むより高くなる傾向があります。
筆者も外構工事で同じ構図を経験しました。家を建てたハウスメーカー経由の外構見積もりは600万円を超え、専門業者の見積もりはその半額以下でした。
もちろん工事範囲や仕様の違いもありますが、窓口が増えるほど金額が積み上がるのは構造上避けにくい部分です。
保証範囲が構造と雨漏りに限られている
長期保証の対象は、基本的に構造耐力上主要な部分と雨水の浸入を防止する部分です。クロスの剥がれ、建具の建て付け、床鳴りといった日常の困りごとは対象外になることがほとんどです。
実際に暮らしていて気になる不具合ほど保証の外にある、というギャップが不満につながります。
自然災害の損害は保証ではなく火災保険の領域
台風で屋根材が飛んだ、地震で壁にひびが入ったといった被害は、保証の対象ではありません。これらは火災保険の風災補償や地震保険がカバーする領域です。
保証は「施工や材料に問題があった場合の補修」を守るもの、保険は「外からの力による損害」を補うものと役割が分かれています。ここを混同すると、延長保証に過大な期待をしてしまいます。
60年保証でも会社が存続していなければ機能しない
独自の延長保証は、その会社が続いていることが前提です。10年を超えた部分については保険の裏付けがないため、会社が無くなれば履行されません。
数十年先の企業の存続を読み切ることは誰にもできません。長い年数そのものを判断材料にしすぎないほうがよい理由です。
- 延長には有償工事の継続発注が必要
- その工事費が専門業者より高くなりやすい
- 守られる範囲は構造と雨漏りに限定される
- 災害の損害は保険が担当する
- 長期保証は会社の存続が前提になる
それでもハウスメーカーの保証を残すべき5つのケース
一方で、保証を手放さないほうが結果的に安く済む家もあります。当てはまる項目が多いほど、延長を前向きに検討する価値があります。

引き渡しから10年以内の家
この期間は法定保証が効いています。構造や雨漏りに不具合が出たら、まずは施工した会社へ連絡して無償補修を求めるのが原則です。
ここで自己判断して別業者に直してもらうと、原因調査が難しくなり、本来受けられた補修を逃すことがあります。10年以内は「保証を使う」が正解です。
独自の外壁材・工法を採用している家
メーカー独自開発の外壁材やユニット工法の家は、外部の業者が同じ材料を扱えないことがあります。この場合、実質的にメーカーへ頼むしか選択肢がありません。
筆者の家の外壁も、そのメーカーだけが扱うオリジナル素材です。外構工事で同じ色と質感を再現したいと思っても、外部の業者には材料が回らないと説明されました。
採用した仕様によって将来の選択肢が変わる、という点は契約前に知っておく価値があります。
まとまった修繕費を自分で用意しにくい家庭
保証を外す判断は、将来の修繕費を自分で管理する判断とほぼ同じ意味です。10年目や20年目に100万円単位の出費が来ることを想定して積み立てる必要があります。
教育費や住宅ローンの返済と重なる時期でもあります。積立が難しいなら、点検で早めに劣化を見つけて小さな補修で済ませる仕組みに価値が出ます。
将来の売却や住み替えを考えている
点検記録とメンテナンス履歴が残っている家は、売却時に建物の状態を説明しやすくなります。保証が継承できる制度を持つ会社もあります。
売る予定があるなら、履歴を途切れさせないメリットを金額だけで判断しないほうが無難です。
3階建て・狭小地など施工条件が特殊な家
足場の設置が難しい敷地や、複雑な形状の屋根を持つ家は、対応できる業者が限られます。相見積もりを取っても価格が下がりにくいケースです。
そもそも比較先が少ないなら、施工経験のある会社に任せたほうが手間もリスクも小さくなります。
これから家を建てる方は、保証の条件も含めて複数社を並べて比べておくと後悔が減ります。無料で各社のプランと概算費用を取り寄せられるサービスを使うのが手軽です。

ハウスメーカーの保証が失効する主なケース
保証は自動で続くものではありません。知らないうちに条件を外していた、という事態を避けるために代表的なパターンを押さえておきましょう。
定められた定期点検を受けなかった
多くの会社が、延長の前提として所定の時期の点検受診を求めています。案内を放置したまま時期を過ぎると、延長の権利そのものが消えることがあります。
点検は初期の一定期間まで無償で、以降は有償に切り替わる会社が多く見られます。どの時点から費用がかかるかは保証書で確認してください。
メーカー以外の業者でリフォーム・塗装をした
外壁塗装や増改築を他社で行うと、その部位に関する保証が対象外になるのが一般的です。屋根や外壁を触れば、防水保証が切れると考えておくのが安全です。
ただし引き渡しから10年以内の法定責任は、施工不良が原因であれば残ります。どこまでが影響範囲になるかは、工事前に書面で確認しておきましょう。
施主側の改造や使い方が原因の不具合
DIYで壁に穴を開けた、換気を止めて結露を放置したといったケースは、施工側の責任と切り分けられます。原因が施主側にあると判断されれば補修は有償です。
自然災害・経年劣化はもともと対象外
地震・台風・大雪などによる損害と、材料が寿命を迎えた経年劣化は保証の対象外です。前者は火災保険や地震保険、後者は計画的なメンテナンスで備えます。
保証とアフターサービス・住宅の保険はどう違う?
「保証が手厚いから安心」と感じていても、実は別の制度でカバーされている範囲だったというケースは珍しくありません。役割の違いを押さえておきましょう。
保証は補修の約束、アフターサービスは窓口の仕組み
保証は「施工や材料に問題があった場合に補修する」という約束で、対象部位と年数が決まっています。一方のアフターサービスは、定期点検・24時間受付の相談窓口・専用アプリなど、暮らしのサポート全般を指します。
点検で不具合が見つかっても、それが保証の対象外なら修理は有償です。「点検に来てくれる=直してもらえる」ではない点に注意してください。
逆に、保証年数が短くても点検頻度が高く相談しやすい会社もあります。年数だけを比べても実態はつかめません。
保険がカバーするのは外からの力による損害
火災保険では、火災のほかに風災・雹災・雪災、水濡れ、盗難などが補償対象になるのが一般的です。台風で屋根材が飛んだ、雪の重みで雨どいが壊れたといった被害はここで対応します。
ただし経年劣化や、施工不良そのものは保険の免責になります。地震による損害は地震保険を別に付ける必要があります。
延長保証を外すかどうかを考えるときは、加入している火災保険の補償範囲もあわせて見直すと判断がしやすくなります。
長期優良住宅は維持保全計画に沿った点検が必要
長期優良住宅の認定を受けた家は、認定時に提出した維持保全計画に沿って点検と記録の保存を行う義務があります。おおむね10年以内ごとの点検が求められる仕組みです。
これはハウスメーカーの延長保証とは別の話ですが、点検自体は必要になります。延長保証を外す場合でも、点検と記録の管理は続ける前提で考えてください。
保証を延長する場合としない場合の費用を比較
判断の決め手になるのは金額です。ここでは30坪・木造2階建て・サイディング外壁を想定した目安を並べます。実際の金額は建物の形状・面積・仕様で大きく変わる点にご注意ください。

| 工事項目 | 時期の目安 | メーカー経由 | 専門業者 |
|---|---|---|---|
| 外壁・屋根の塗装 | 10〜15年目 | 150〜250万円 | 100〜180万円 |
| シーリング打ち替え | 塗装と同時 | 25〜45万円 | 15〜35万円 |
| 防蟻処理(1回) | 5年ごと | 15〜25万円 | 8〜18万円 |
| 定期点検(有償化後) | 10年目以降 | 1〜3万円 | ー |
※2026年8月時点で公開されている一般的な費用相場をもとにした概算です。
差額をどう考えるかが判断の分かれ目
外装メンテを30年で2回、防蟻処理を5回想定すると、メーカー経由と専門業者では100万〜250万円ほどの差が出る計算になります。この差額が延長保証の実質的な対価です。
その対価で得られるのは、構造と雨漏りの不具合が出たときに無償補修を受けられる可能性です。安心に対していくら払えるかという判断になります。
なお差額を丸ごと浮かせられるわけではありません。延長しない場合でも修繕費は必ず発生するため、月1万〜2万円程度の積立は前提として考えてください。
外部業者へ切り替えるときのリスク(筆者の実体験)
「安いほうへ切り替える」判断には落とし穴もあります。筆者は外構工事で4社から見積もりを取り、最も安い専門業者と契約しました。他社より50万〜100万円安く、提案力もあり、口コミも当時は悪くありませんでした。
ところが着工予定を過ぎても連絡が来ず、問い合わせても2週間返事がない状態に陥りました。内容証明を送り、消費者センターにも相談してようやく日程が確定した状況です。
工事完了の数週間後には、同じ業者の口コミが「前金だけ払って着工されない」という声で埋まっていました。前金を支払っていた立場としては、ぎりぎりで難を逃れた形です。
- 契約書に着工日を「◯月◯日までに着工」と明記する
- 前金の割合を下げ、出来高払いに近づける
- 価格だけでなく施工実績と自社保証の有無を確認する
- 審査を通った業者が登録された一括比較サービスを使う
外装メンテを外部業者に任せるなら、複数社の見積もりを並べて金額と保証内容を確認するところから始めるのが安全です。
ハウスメーカー保証の要否を見極めるチェックリスト
ここまでの内容を、自分のケースに当てはめるための確認項目にまとめます。契約前と10年目の2つのタイミングで見るポイントが違います。

契約前に確認したい6項目
契約してからでは変えられない条件ばかりです。営業担当に口頭で聞くだけでなく、保証書の写しや条件書を見せてもらいましょう。
- 初期保証は構造・防水それぞれ何年か
- 延長に必要な工事の内容・時期・概算費用が示されるか
- 定期点検はいつまで無償で、以降いくらかかるか
- 防蟻・設備・地盤の保証はそれぞれ何年か
- 他社で工事した場合に失効する範囲はどこまでか
- 採用する外壁材は外部業者でも扱えるか
10年目の分岐点で確認したい3項目
延長するかどうかを迫られるのは10年目前後です。案内が来てから慌てないよう、次の順番で進めると比較しやすくなります。
点検結果と必要な工事、金額、延長される保証の範囲と年数を書面で確認します。口頭の説明だけで判断しないことが大切です。
同じ工事内容で2〜3社に見積もりを依頼し、差額を数字で把握します。専門業者側の自社保証の年数もあわせて確認しましょう。
1回の工事費だけでなく、次回以降の工事と失効する保証範囲まで含めて総額で比較します。差額に納得できるかどうかが判断基準です。
保証で後悔しないために契約前にやっておきたいこと
保証をめぐる後悔の多くは、契約前の情報不足から生まれます。家が完成してからでは選び直せない部分だからです。
複数社の保証条件を同じ土俵で比べる
筆者は住友林業・大和ハウス・パナソニックホームズ・ミサワホームの4社に足を運びました。展示場に行く前のイメージと、実際に話を聞いたあとの印象は想像以上に変わりました。
ただし複数社をまわると打ち合わせ回数が一気に増え、比較そのものが負担になります。保証やメンテナンス条件のように資料で比べられる項目は、先に取り寄せて絞り込むのが効率的です。
家を建てた今でも「あの会社にも話を聞いておけばよかった」という気持ちが少し残っています。比較の手間を惜しまないことをおすすめします。
保証と工事条件は必ず書面で残す
前述の外構トラブルで痛感したのは、契約書の書き方の重要性です。筆者の契約書は「建物完成後速やかに開始」という曖昧な表現で、着工の遅れを追及する根拠になりませんでした。
保証も同じです。「基本的に対応します」といった口頭の説明ではなく、対象部位・年数・失効条件が書かれた書面を必ず受け取ってください。
ハウスメーカー選びで見るべき項目は保証だけではありません。あわせて次の記事も参考にしてください。

保証条件も含めて各社を比べたい方は、無料の一括請求サービスで複数社のプランと概算費用をまとめて取り寄せると比較が進みます。
ハウスメーカーの保証に関するよくある質問
保証の要否を検討する方から寄せられやすい疑問をまとめました。
まとめ:ハウスメーカーの保証はいらないのではなく使い分ける
ハウスメーカーの保証は、法定の10年・各社独自の初期保証・有償の延長保証という3層構造です。このうち要否を選べるのは延長保証だけで、引き渡しから10年間の保証は施主が手放せません。延長保証の対価は、30年で見ると100万〜250万円ほどの差額が目安になります。
独自外壁材を使っている家や、まとまった修繕費を用意しにくい家庭では、延長のメリットが上回ることもあります。判断を誤らないために大切なのは、契約前に各社の保証条件を同じ基準で比べておくことです。無料でまとめて資料を取り寄せられるサービスを活用し、後から後悔しない選択をしてください。




