「シロアリ駆除は本当に必要なの?」「うちはまだ新しいから大丈夫では?」と考えている方は多いのではないでしょうか。
結論からお伝えすると、すべての住宅にシロアリ駆除が必要なわけではありません。ただし、条件を正しく理解せずに放置すると、数百万円の修繕費用や耐震性の低下といった深刻なリスクを抱えることになります。
この記事では、シロアリ駆除が必要ないケースと必要なケースの判断基準、放置した場合のリスク、費用相場までわかりやすく解説します。
シロアリ駆除は本当に必要ないのか?
「シロアリ駆除は必要ない」という声をネット上で見かけることがあります。実際のところ、条件によっては駆除が不要なケースもあります。
ただし「必要ない」と断言できるのは限られた条件を満たしている場合だけです。国土交通省の補助事業による調査では、日本の住宅の約5棟に1棟がシロアリ被害を経験しているというデータがあります。
つまり、多くの住宅にとってシロアリは「他人事」ではありません。まずは自分の家が「本当に駆除が必要ないケース」に該当するのかを正しく判断することが大切です。
シロアリ駆除が必要ない3つのケース
以下の3つのケースに当てはまる場合は、すぐにシロアリ駆除を行う必要はありません。
新築から5年以内で防蟻処理済みの場合
新築時にハウスメーカーや工務店が防蟻処理(ぼうぎしょり)を施している場合、薬剤の効果は約5年間持続します。この期間中はシロアリが侵入するリスクが低いため、追加の駆除は基本的に不要です。
住友林業やタマホームなど大手ハウスメーカーでは、新築時に標準で防蟻処理を行っています。保証期間中であれば、万が一被害が発生しても無償対応してもらえるケースがほとんどです。
ただし、5年を過ぎると薬剤の効果が切れるため、再処理の検討が必要になります。保証期間の終了時期は、契約書や保証書で必ず確認しておきましょう。
床下や周辺にシロアリの痕跡がまったくない場合
自宅周辺にシロアリの痕跡がまったく見られない場合も、駆除の緊急性は低いといえます。具体的には以下のポイントをチェックしましょう。
- 基礎や柱の表面に泥でできた細い道(蟻道)がない
- 床下の木材に食害の跡がない
- 春先(4〜6月)に羽アリの群飛を見かけていない
- 床を歩いたときにフカフカした感触がない
- 壁や柱を叩いたときに空洞音がしない
すべてに該当しなければ、現時点では被害を受けている可能性は低いでしょう。ただし、シロアリは目に見えない場所で活動するため、定期的な点検は欠かせません。
耐蟻性の高い木材や構造を採用している場合
ヒノキ・ヒバ・ケヤキなど、天然の防蟻成分を持つ木材を使用している住宅は、シロアリ被害のリスクが比較的低くなります。
また、床下の通気性が良く乾燥した状態が保たれている住宅も被害を受けにくい傾向があります。シロアリは湿気を好むため、乾燥した環境は活動しにくいのです。
ただし、耐蟻性の高い木材であっても「絶対に被害に遭わない」とは言い切れません。あくまでリスクが低いという認識にとどめておきましょう。
シロアリ駆除が必要なケースと見極めポイント
一方で、以下に当てはまる場合はシロアリ駆除を早めに検討すべきです。
築5年以上で防蟻処理を再施工していない
防蟻処理の薬剤は約5年で効果が切れます。国土交通省の調査データによると、築6年目以降から被害報告が急増する傾向があります。
新築時に防蟻処理を行っていても、5年を過ぎたら再処理を検討しましょう。特に築10年以上で一度も再処理をしていない場合は、専門業者による点検を強くおすすめします。
蟻道・羽アリ・木材の異変を発見した
以下のサインが1つでも見られたら、すでにシロアリが侵入している可能性があります。
| サイン | 特徴 | 確認場所 |
|---|---|---|
| 蟻道(ぎどう) | 泥でできた細いトンネル状の道 | 基礎の外面・床下の柱 |
| 羽アリの群飛 | 4〜6月に大量の羽アリが飛び立つ | 窓際・玄関・浴室周辺 |
| 木材の食害 | 木材がスカスカになり空洞音がする | 床下・柱・壁の内部 |
| フカフカする床 | 歩くと沈むような感触がある | 浴室・洗面所・キッチン周辺 |
これらの症状を見つけたら、自己判断で放置せず専門業者に調査を依頼しましょう。
湿気が多い環境にある
シロアリは湿気を好みます。以下の条件に当てはまる住宅は、シロアリ被害のリスクが高いため注意が必要です。
- 床下の換気口が少ない・塞がれている
- 雨漏りや水漏れの修理を放置している
- 敷地が周囲より低く水がたまりやすい
- 基礎の近くに木材や段ボールを放置している
- 浴室やキッチンの換気が不十分
シロアリ被害を放置するとどうなる?3つのリスク
「まだ被害が出ていないから大丈夫」と放置していると、取り返しのつかない事態になるケースがあります。
耐震性が著しく低下する
シロアリ被害を受けた住宅は、地震時の倒壊リスクが大幅に高まります。
1995年の阪神・淡路大震災の調査では、シロアリ被害を受けていた住宅の約8割が全壊したというデータがあります。シロアリに柱や土台を食害されると、建物の構造強度が根本から損なわれるためです。
日本は地震大国です。家族の安全を守るためにも、シロアリ対策は地震対策の一環として考えるべきでしょう。
修繕費用が高額になる
シロアリ被害が進行すると、駆除費用だけでなく建物の修繕費用が加算されます。
| 被害の程度 | 費用の目安 |
|---|---|
| 初期段階(駆除のみ) | 10万〜30万円 |
| 床材の修繕が必要 | 50万〜100万円 |
| 柱・土台の交換が必要 | 100万〜300万円以上 |
初期段階で発見・対処すれば10万〜30万円程度で済むところ、放置すると100万円を超える出費になることも珍しくありません。早期発見・早期対処が費用を最小限に抑えるカギです。
住宅の資産価値が下がる
シロアリ被害を受けた住宅は、売却時に大幅な減額や買い手がつかない原因になります。将来的に住み替えや相続を考えている方は、資産価値の維持という観点からもシロアリ対策を怠らないようにしましょう。
構造別に見るシロアリ被害のリスク
「うちは木造じゃないから大丈夫」と思っている方もいるかもしれません。しかし、シロアリ被害は木造住宅に限った話ではありません。
| 構造 | 被害リスク | 理由 |
|---|---|---|
| 木造軸組工法 | 高い | 柱・土台がすべて木材のため被害を受けやすい |
| ツーバイフォー工法 | 高い | 壁パネル内部に侵入すると被害が広範囲に及ぶ |
| 軽量鉄骨造 | 中程度 | 骨組みは鉄骨だが、内装・下地・断熱材に木材を使用 |
| 鉄筋コンクリート造 | 低〜中程度 | 内装や家具に木材が使われている場合は被害の可能性あり |
注意が必要なのは「アメリカカンザイシロアリ」の存在です。従来のヤマトシロアリやイエシロアリと異なり、乾燥した木材でも食害する外来種で、近年は被害報告が増えています。
鉄骨造やRC造であっても、室内に木材を使用している限りシロアリのリスクはゼロにはなりません。「構造が木造ではないから安心」と油断しないようにしましょう。
自分でできるシロアリ予防チェックリスト
駆除が必要な状態になる前に、日頃から予防を意識することが大切です。以下のチェックリストを定期的に確認しましょう。
- 基礎の周囲に木材・段ボール・古新聞を放置していないか
- 床下の換気口が家具や荷物で塞がれていないか
- 雨どいや排水溝が詰まって水たまりができていないか
- 浴室・洗面所・キッチンの水漏れを放置していないか
- 庭木の切り株や枕木がそのままになっていないか
- 基礎コンクリートにひび割れがないか
- 春先(4〜6月)に羽アリを見かけていないか
これらは特別な道具がなくても確認できる項目です。年に1〜2回、春と秋に点検する習慣をつけておくと安心です。
ただし、床下内部の点検は専門業者に依頼するのが確実です。自分で床下に潜るのは危険が伴ううえ、素人では被害の初期段階を見逃してしまう可能性があります。
シロアリ駆除の費用相場と業者選びのポイント
実際にシロアリ駆除を依頼する場合、費用と業者選びが気になるところです。
シロアリ駆除の費用相場
シロアリ駆除の費用は、主に「バリア工法」と「ベイト工法」の2種類の施工方法で異なります。
| 施工方法 | 費用相場(30坪の場合) | 特徴 |
|---|---|---|
| バリア工法 | 10万〜25万円 | 床下に薬剤を散布。即効性が高い |
| ベイト工法 | 20万〜40万円 | 毒餌を設置して巣ごと駆除。薬剤を室内に撒かない |
一般的な木造住宅(30坪)の場合、バリア工法で10万〜25万円が相場です。ハウスメーカー経由で依頼すると20万円前後、専門業者に直接依頼すると10万円前後になるケースが多い傾向があります。
業者選びで失敗しないためのポイント
シロアリ駆除業者の中には、不安を煽って高額な契約を迫る悪質な業者も存在します。以下のポイントを押さえて信頼できる業者を選びましょう。
- 事前の床下調査を無料で実施してくれる
- 調査結果を写真付きで丁寧に説明してくれる
- 施工後の保証期間(5年保証が一般的)がある
- 日本しろあり対策協会の登録業者である
- 複数社から相見積もりを取って比較できる
最低でも2〜3社から見積もりを取り、金額・施工内容・保証を比較してから決めるのが鉄則です。
迷ったらまず無料診断で確認するのがおすすめ
「シロアリ駆除が必要かどうか自分では判断できない」という方は、まず専門業者の無料診断を受けてみることをおすすめします。
無料の床下診断を利用すれば、現在の被害状況やリスクをプロの目で確認してもらえます。診断を受けたからといって必ず契約する必要はないので、気軽に相談してみましょう。

一括比較サービスを利用すれば、審査を通過した信頼できる業者から複数の見積もりをまとめて取得できます。費用やサービス内容を比較したうえで、自分に合った業者を選びましょう。
新築を検討中の方へ|家づくりの段階でできるシロアリ対策
これから家を建てる予定の方は、設計・施工の段階からシロアリ対策を意識しておくことが重要です。
ハウスメーカーの防蟻処理を確認する
ほとんどのハウスメーカーでは新築時に防蟻処理を標準で実施しています。ただし、処理方法や保証期間は各社で異なります。
契約前に「どんな防蟻処理を行うのか」「保証期間は何年か」「保証が切れた後のメンテナンスプランはあるか」を必ず確認しましょう。
湿気対策を設計に盛り込む
シロアリは湿気を好むため、床下の換気・防湿を設計段階で計画しておくことが長期的な予防になります。
- ベタ基礎を採用する(布基礎よりシロアリが侵入しにくい)
- 床下の防湿シートと換気計画を確認する
- 基礎と土台の間に防蟻パッキンを使用する
- 浴室やキッチンの配管まわりの防水処理を徹底する
筆者自身も住友林業で注文住宅を建てましたが、ベタ基礎と防湿シートに加えて「タームガード」というシロアリ対策システムが標準で採用されていました。タームガードは建物の基礎の周囲に薬剤注入用のパイプを埋設する仕組みで、10年ごとにそのパイプへ薬剤を流し込むだけでメンテナンスが完了します。
実際に我が家の周囲にもこのパイプが通っており、10年に1回の薬剤注入が必要になっています。屋外からの作業だけで済むため室内への影響がなく、一般的な5年ごとの床下散布と比べてメンテナンスの手間とコストが抑えられるのがメリットです。
このように、ハウスメーカーによって防蟻処理の方法や保証期間はさまざまです。新築時にしっかり確認しておくことで、将来のメンテナンス負担が大きく変わります。

